『掃き溜めに鶴』な闘犬の価値
わー!やっぱりSKYにリーノ・インタビューの長いバージョンが出たー!…ってことで、少しだけ重複する所もあるけれどあらためて和訳してみました。
「まずは4位、それから自分のことを話す」
SKY Sportでヴィアッリ&ロッシのゲストとなったガットゥーゾ:目標はチャンピオンズ。ベルルスコーニ?もちろん俺は彼に投票したリーノ・ガットゥーゾはジャンルカ・ヴィアッリとパオロ・ロッシ司会の『Attenti a quei due』の、5月1日木曜日のゲストだった。
—さて:ピッチの外でのガットゥーゾはどんな感じ?変身する?
「いんや。カルチョはああいうモードでやるもんだってわかってるからな。そんで、日常生活は全く別物だ。俺は家族のパパだし、いたって普通の人間だ。俺の仕事はああいうモードでやるってわかってるんだ。俺の天分はガッツだ、もし俺から取り上げる価値があるとしたらだが…」
—日曜日のデルビーは?
「俺たちはこの最高に重要な試合に集中している。たくさんのヤツらがなんでこの時期に俺が語らないのかって聞く。俺は話したくない。グループに個人的な問題を持ち込みたくないから。なぜなら俺たちの目標は4位だからだ。その後に自分のことを話す時間があるだろう。今はすんごい重要な目標がある、それは4位だ」
—君は3度のチャンピオンズ・リーグ決勝でプレイした。
「俺は2度勝って、ひとつはベニテスにあげた。今季の準決勝で見たものはイタリア式の試合だった。多くのものがカテナッチオだった。俺がサッカーを始めた頃は、イタリアサッカーは守るだけを考えているアンチフットボールだって言われた。でも反対に結局は俺たちをコピーしたんだ」
—対リバプール戦イスタンブールで負けた決勝の説明はどうつく? 3-0でもうお祝いしてたヤツがいたから、君が怒ったというのは本当?
「いいや、お祝いはなかった。一度以上の決勝を経験している選手たちがいたから、試合が終わる前に驚喜するようなワナに陥らなかった。それから特にサッカーの世界では、厄よけのまじないがそりゃあたくさんある。更衣室で言ってるのを俺が聞いたセリフは絶対死なねえアレ(quella che non muoiono mai)ってやつだった。これは最後の瞬間まで絶対あきらめないヤツらってことだ。とにかく俺たちは後半のピッチに入り、4-0にするチャンスもあった。その後、6分間であれが起きたんだ。3-3になっても試合はずっと俺たちが押していた。延長戦の終盤にシェフチェンコのシュートを2度も、ドゥドュクがどうやって止めたのかさえわからない」
—君はそのプレイスタイルゆえにハードだと考えられている、でも正直だ。
「そう、悪いことしようとだけ考えたり、相手にキャリアを酷評されるだけだったら、それはひでえことだ。いつだって俺は誰にも悪いことしようと思ったことはねえ。そう、プレイはハードだ。でもいつだって手をさしのべている。17才半でスコットランドで経験したことが、俺にとって根本になってるんだ」
—君は良い意味で自分の監督、リッピやアンチェロッティに平手打ちをくらわしてるね。
「俺はすんげえ田舎もんだからな。ピルロは俺のことterrone(北イタリア人が言う南イタリア人蔑称)って言う。でも俺はすんげえ田舎もんなんだ」
—ベルルスコーニに平手打ちは?
「ない」
—彼に投票した?
「したよ、ああ。彼に投票しないなんてできるか? 俺はベルルスコーニみたいな人間に、彼が今まで作り上げてきたように、イタリアの新しい政府のさらなる可能性を与えるのが正しいと思ったんだ」
—2006年に君はバロンドールのリストで14位になった。
「カルチョでちゃんとしてないことがあるって、俺は言ったよ」
—もっと上がふさわしいと?
「とんでもない。そんなことは全くねえ。俺のキャリアでして来たこと全てにかけて誓う、これは夢を生きるようなものだ。目を開けたままの夢。毎年続くこと、決して中断しないこと。俺のキャリアはこうして過ごしてきている。なぜなら一度だってワールドカップで優勝するなんて考えたことはなかったから。ワールドカップに参加することはずっと考えていたが、優勝するなんて。ミランのユニフォームを着ること、小さい頃から応援してたそれを。9年間いて、俺が全てを勝ち取ったこと。これらは全く自分でも期待してなかったことだ」
—いま君は申し分のないミッドフィルダーだ。05/06シーズンのパレルモ戦でのようにゴールを決めることも知っている。それから、君はクルヴァのティフォージへふり返る。
「彼らは途方もない愛情を俺にいつも見せてくれるから、あれが俺ができることの最小限のことだ。ティフォージはサッカーチームの重要な一要素だと信じてる。それにこういう喜びは一緒に分け合うのがいいんだ」
—カカから盗みたいことは?
「フィジカルレベルでは何も変わらない。サッカーレベルなら、足元がちゃんとした小型エンジン」
—ネスタからは?
「クラス。時として困難におちいってる時、そうは見せねえんだ。信じられねえクラスを持っているから。それに信じられねえフィジカルパワーを持っている」
—ピルロからは?
「足。あれは信じられねえよ。俺は重要な試合の時はいつだって緊張する。ワールドカップの決勝とか他の決勝を思い出すが、ヤツはいつだって冗談言ってる。それにピルロを知らないヤツは、ヤツが周りみんなをからかってるってわからないんだ。ヤツはすんげえ冗談好きな野郎だ。最高に親しみやすいヤツだって言えるな」
—アンブロジーニからは?
「ヘッドの一撃」
—カピターノバンドは?
「ノー、バンドはノーだ。アンブロジーニがつけるのが正しいだろ、ミランに12年いるんだ。いつだって俺は更衣室で、幹部たちに言ってきた。バンドは彼が持つのが正しいようだと。その後に他のヤツが着けるなら、それが普通だ…」
—ガットゥーゾはいろんな広告の主役だ。
「ラッキーなことに、俺たちはワールドカップで優勝した…」
—デルビーのようなタイプや国際的試合をプレイするためにこういう広告を中断するという事実は、うんざりしない?
「一番すばらしいことはこういう試合をプレイすることだ。デルビーのような重要な試合、いつだってプレイするのはすばらしいことだ。アドレナリンが出て、プレイしたい欲求、あれは途方もねえ」
—サッカーチームと広告エージェント、どちらが君を探す?
「サッカーチームであることを願うね…」
—チェルシーかマンチェスター・ユナイテッド行きに準備している?
「英語はめちゃひでえんだ…」
—あの中でプレイするために戻れたらうれしい?
「プレミアリーグでプレイする可能性を持てるのはうれしいよ。俺がずっと持っていて、一度も隠してこなかった夢だ。あのリーグでプレイする特徴を持ってると思うからな」
—ドイツのワールドカップでドーピングの噂があったことについて。
「あれは俺のキャリアで一番ひでえ日々のひとつだった。俺が何か隠したいがために血液検査を拒否したとか、たくさんの嘘を聞いたよ。尿検査か血液サンプリングかを選べる規則がまだあったんだ。尿検査をしたよ。人生の中で、俺は目標に到達するために、能力を高めるためにずっと働いてきた。誰かが俺がドーピングしたヤツだなんて言うのを聞く。あれはすんげえ不愉快なことだ」
(Skysport 08/05/02)
やっぱり長いバージョン訳して良かった。細切れの言葉だけ読むと、なんだかリーノが移籍とカピターノ問題、それにジーニョ獲得に文句言ってるだけのヤなおしゃべりなヤツみたいだったけど、全文読むとそんな印象は薄れる。でもやっぱり、『俺は話したくない。グループに個人的な問題を持ち込みたくないから』とは言いつつも、ジーニョ余計だとか、プレミアは俺の夢とか、結構物議をかもす発言してるよ〜リーノ〜とは思うけどw
例のWSDのリーノのコラム。同じように一部分だけを要約してここに書くと、変な印象操作というか、バイアスがかかると思うので、気になる方は本屋へ立ち読みにGO!w 各チームの10大ニュースと良い事悪い事、それをふまえたメルカート指南の記事があったり、ジーニョ移籍騒動の記事や元Tutto編集長による『ベルルスコーニの性癖という不安』っていうコラムがあったりして、なかなか楽しかったです。そう、ベル様の性癖、趣味、ミラン流はヘンなのですよw
で、リーノのWSDコラムなのですが、これはイタリア人によるインタビューを和訳したものではなく、サッカージャーナリスト片野道郎氏が直接インタビュー・構成しているもの。だからリーノがあれだけぶっちゃけてクラブ批判発言をしたのかも。そして、とても誠実に取材する信頼できるジャーナリスト片野道郎氏だからこそ、あれだけの発言をリーノから引き出せたのかとも思う。彼のサイト『Tifosissimo!!!』はこちら。
それでその発言の中身なのですが、もう一から十まで正論というか、たぶんミランの現状を嘆く多くのミラニスタのハートにストライクな直言。でもあえて言いたい。これを外部の評論家が言うのならいい。とても的確なミラン再生の『一例』だなあと思う。でも内部の現役選手が(いくら誠実なジャーナリスト相手で、遠い日本の媒体だとしても)マスコミにしゃべっちゃ愚痴でしかないだろ…とも思う。おそらくシーズン終了後のクラブとの会談で語ることとほぼ同じなんだろうけど、そう、これはクラブ首脳に直接言うべきことだ。
マスコミの質問にあえて乗って、クラブへメルカートに関する圧力をかけたり、クラブの方針に意見したりすることは、カカやトッティが自分のチーム内の価値を量りながらやっていることだ。トッティの場合は『俺のローマ、こんなヤツがいたら強くなんじゃね?』って感じで、無邪気というか願望というかあんまり計算してない感じだけど(笑)、カカは自分がいる価値のあるりっぱなミランにしたくて、確実に計算づくで話してる印象が。で、リーノはどうかというと、そういう自分の価値を量りにかけたような計算は皆無。とにかく不満を腹にためておくことができなかった感じだ。
だからこのメルカートやクラブの方針について、リーノが批判する心情には同意だけど、質問されたからといって、自分が思っている批判をマスコミを通してクラブに伝えるやり方には同意できず(WSDのコラムはクラブに直接伝わらないとは思うけど〜、テレビのSKYで話したジーニョ獲得反対発言はイタリアの他の複数メディアでも記事になっている)。こんな風に彼はウソがつけない、自分の激情を心に秘めておけない、自分の苦しみを我慢できずマスコミを通してファンに伝えてしまう弱さもある。クラブ批判が記事になると、その発言者には勇気がある(そして反対にマスコミにしゃべらない人間はクラブに同意している)と思いがちだけど、本当に心が強い人ならメディアには黙って当事者間だけの話にするだろうと思う。そんな不器用なところがファンの共感を呼ぶ、これこそリーノの得難い魅力だとは思うのですけどね。
だからこそ、こんなに腹芸ができなくて心清く優しい人にはミランのカピターノは(本人もわかってるっぽいけど)無理だなあと思う。自分が辛くなりそう。アンブロさんには沈黙を守る我慢強さがあるし、カカはしれっと優等生発言しながら、腹の中で野心を育て、いざとなるとチクッとベルルスコーニ相手でも刺すから(笑)、そういう黒くオトナな役目は彼らにまかせて、リーノはスコットランド仕込みのスポーツマンシップを、有言実行を、こずるいイタリアーノの中でぜひ発揮し続けていただきたい。言わば、スポーツマンシップあふれる彼の地よりは、薄汚れた(ごめんなさいよw)イタリア・カルチョの、しかもかなりややこしいビッグクラブ・ミランの中でこそ、リーノの価値は高いのじゃないかと思うわけです。掃き溜めにいることに、鶴(のような闘犬)が疲れてしまわないことを祈る。
Tags: ガットゥーゾ
2008/05/03/土/ at 09:58
[サッカー]ガットゥーゾかく語りき。…
http://terzino.s288.xrea.com/wp/archives/1017 なんか私生活で疲れたのとガットゥーゾの色々な問題があって日記を書く気になら (more…)
2008/05/03/土/ at 15:38
長訳お疲れさまです。
リンギオの「英語はめちゃひでえんだ…」には読んでる最中吹きました笑
他にもレアルが彼を狙ってるとかいう話しもあがってますが実際のところどうなるんでしょうかね…彼がミランを出て行くなんて事がないよう祈ります。
てかベル爺に平手打ちしたらどうなるかなんて想像がつきません。
2008/05/03/土/ at 21:10
>t-t-akiさん
そう言っていただけると苦労が報われますよー。
リーノの英語はスコットランドなまりで大変なことになってるんでしょうねw どこでもなまる男なのか。でも、やっぱりスコッツなまりらしいファーガソン監督とは気が合いそう…って行っちゃイヤーーー!ですけどね。
ベル様はにこやかに平手打ちをくいながら、笑顔のままで黒服SPに『殺ってしまいなさい』って言いそう。コワイw
2008/05/05/月/ at 08:16
いつも沢山訳していただいてありがとうございます!
すごく興味深かったです。WSDのコラムも読んでみますね。
事後報告で申し訳ありませんが、この記事とちょっと前の記事、TBはしておりませんが、ブログでリンクさせていただきましたので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
あと、ここに書いて恐縮ですが、ミラン、デルビーを制してくれて感激!フィオも負けて、すごい角度の右肩上がりですねw。とにかく嬉しいです。
2008/05/05/月/ at 17:45
>olgaさん
いえいえ、どういたしまして。olgaさんの記事も拝見いたしました!プレミアとセリエA、それぞれリーグの特徴があっておもしろいですよね。これだけ選手が国際化してるのに。
ミランにあまりに都合が良過ぎて、反対に恐いほどですw あとに落とし穴が待ってないように、ミランさんたちには気を引き締めてがんばっていただきたい!