大泣きルイ

先日記事にしたミランからルイ・コスタへの手紙は、ポルトガルの新聞『A Bola』に掲載されたものだった。ここで改めて和訳しときます。いつもは「騙されないぞ〜そんなミラン一家幻想には〜」とニヤニヤしてるのですが、こういう機会には素直に騙され、感激しとく。

親愛なるルイ

プロサッカー選手としての最後の試合は、強烈であらがい難い感情を呼び起こします。終わりを迎えるその偉大なキャリアを考えれば伴う悲しみは当然あるとしても、家族やたくさんの友人に囲まれて、あなたを愛するファンたちの前でプレイできる喜びも。

あなたがサッカー界から去らないだろうことを知っていますし、我々がミラネッロでのすばらしい5年間で知り、持つことができたカンピオーネである、最高に偉大な人物をサッカー界はまだ所持できるだろうことを知っています。今やあなたは我々の一員、偉大なるロッソネロ・ファミリーの一人となりました:なぜなら親愛なるルイ、あなたはミランのようだからです。誠実で情熱的、高潔無私でがんこ、予想不可能でこのすばらしいスポーツにぞっこんです。あなたは人生の選択のため、ポルトガルへ帰りました。しかし決して我々はあなたから離れませんし、ましてこのような特別な夜は遠くにはいられません。これはあなたの名前とユニフォームの番号だけにそうするのではないのです:とにかくミラン、ミラノを去ったルイそのものにも、あなたがミランとイタリアに残した忘れがたい思い出を与えてくれたことに対してもなのです。

親愛なるルイ、あなたを忘れることは不可能です。それゆえ今日、サッカーをプレイするステージではあなたの最後の出場となる、唯一の主役であるあなたに、我々の気持ちをこうして伝えます。

Un forte abbraccio(強い抱擁を)

(A.C.Milan.com 08/05/11)

これを読んで感激したルイのコメント。

「あの手紙を読んだ時、僕は子供のように大泣きした。18年が過ぎてサッカーを去るこの時、自分自身がしてきたことへの敬意に、うれしく思うし誇りに思う。世界最高のクラブの一員となれたことは誇りだ。それに僕のことを忘れないでいてくれるのを知ると、幸せな若者のままでいられるよ。だから感動で泣いたんだ。(ミランは)ずっと僕の心の中にある」

(Gazzetta dello Sport 08/05/13 第15面)

いい話にヘンなオチつけるようですが、ガリの送ったミランの便せん。ミランのマークの下に『世界で一番タイトル取ってるクラブ』って、しっかりキャッチフレーズが書いてあるー。「ルイ、あなたはミランのようです」から続くホメ言葉は手前ミソだし、あいかわらずなクラブだw

ルイの思い出。02/03シーズンだったかなあ…ユベントスとのスクデット争いから脱落しそうだった試合で、まるでモーゼが海をまっぷたつにしたようにピッチの中央から相手DFたちの間をまっすぐ通した、まさに針の穴を通すパス。それを絶妙な抜け出しでもらい決めたピッポ。首の皮一枚つながったから、良く覚えている。そして、CLレアル戦でのありえない距離の正確なパスをシェヴァに送った場面。ルイ・コスタのスルーパスは、一発決まればいつも背筋がぞくっとする美しさだった。

そしてイスタンブールでの敗戦後。自分のPK失敗もあってか、あのクールっぽいピルロがなんと号泣。それをやさしく抱き寄せ慰めてたルイの姿に、『ベテランってやっぱりいいなあ…』と(私の敗戦ショックが冷めた後からですが…)思いましたよ。ルイ自身もかなり涙もろいと思うんだけど、あの場面は先に泣かれちゃったもんだから、ぐっとこらえたのかなw

ポルトガルサッカー事情にとても詳しいジャーナリストの記事はこちら。これ読むとさらにじ〜んとくる。鰐部氏の個人ブログでのルイ・コスタ引退記事はこちら

引退試合の翌日からルイ・コスタはベンフィカのスポーツディレクターに就任。ビリーが監督に?!という噂がありましたが、エリクソンが一番有力らしい。


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ああ…行ってしまいそうな人たち

メルカート状況、新たに獲得する方はもう新聞が書きたい放題書いているので、割愛。ただいまの現状選手たちのお別れ具合をまとめてみると…。

FW:ジラルディーノの移籍が濃厚。一番の噂はフィオレンティーナ。ロナウドはとにかくケガの回復次第だが、復帰したとしても、まずはフラメンゴにローンで移籍して試運転。しかしスキャンダルが影響して、ミランには戻らずそのまま完全移籍という可能性も。当初、アンチェが来季のFWの人数に入れていたパロスキは、他のFW獲得状況によってプリマヴェーラ残留か、(トップチームでは出場機会があまり得られないため)ローンで修行という可能性も。

MF:ブロッキはオリンピアコスやAEKアネテ、イングランドからのオファーを受けていて、移籍濃厚。グルキュフはファンバステンのアヤックスの噂があったが、彼自身のコメントは

「僕の父がミラン幹部と会った。僕らは様々な状況を吟味しているところだ。ローンでフランスへ帰ることも含めて。僕はどんな可能性も排除しない」(Tutto Sport 08/05/15 第11面)

グルキュフにはパレルモ行きという噂もあり、どちらにしてもローンで移籍濃厚。エメルソンは13日にベルギーで手術。彼も移籍リストに載った可能性がある。

DF:カフーとセルジーニョが公式に退団を表明。シミッチも移籍濃厚。

GK:ジダが移籍濃厚。フィオーリは引退の予定。

移籍か残留か、まったく不透明な状態がガットゥーゾ。それにしてもお別れが多い! 彼らの代わり、いやそれ以上の力を出してくれる人たちは入ってくるのでしょうか。心配。だからメルカートは毎年コツコツ、カンピオナートは毎試合コツコツやれっつーにw

そういえば、ピルロが「僕たちはチャンスを逃し過ぎた。軽率だった。自分たちを呪わなくては」と言い、カカも「責任は僕らのものだ」とミランチャンネルで自省したりしてるけど、そう言うしかないよねーと、その心中を勝手に推察したしましたよ。

昨シーズンでさえ無理があった穴だらけのメンバー構成でCL優勝しちゃったもんだから、これ幸いとベル様はしぶちんで金出さないし補強しない。そしてメルカートでも手腕を発揮できない幹部たち。それを「我々はミランファミリーですから!今いる選手を大事にしますから!お隣とは違いますから!」という美談アッピールにすりかえて隠そうとしたのだ…と、斜めったミランファンはまるっとお見通しだーっ!w いつまでやってもいいとお墨付きがあるマルやピッポだって確実に衰えているのは事実であって、彼らが現役を続けることはオマケみたいなもん。またこれを「功労者を大切にするのがミランなんですよ〜」と補強をさぼるカモフラージュに利用されてはたまらん。ガリはさっそくピッポいたらFWいらんとか言ってるし、カカをFWに仕立てるし。

今季はCWCだけは確実に取って、CLでは運良くベスト4か決勝まで、カンピオナートでは4位以内に入れば御の字だったのはバレバレ。前半の(特にカンピオナートでの)調子の上がらなさはヒドかった。いつもは年明けから上がる調子も、レギュラー選手使い過ぎで擦り切れてエンジンかからなかった。幹部たちのもくろみ以上に各ポジションがボッロボロで、今の状態になっちゃったんだな。

だから、今季の(正確に言えば昨季からの)ミランのダメダメさは精神論で全てが語れるものではなくて(同じ選手・監督・戦術というチーム内マンネリと言う意味ではちょっとはあるかもだけど)、結局はチーム構成の質の問題だよなあ…と私は思いますよ。ビッグクラブ相手にはがんばるのに、その後コロっとプロビンチャや格下と思われるチームに負ける…というミランのイヤンな伝統はりっぱに(笑)健在なのに加えて(これはサッキ、カペッロ、モウリーニョなど鬼軍曹タイプの監督がこない限り治らないだろうし、そもそもそんなに毎試合機械のようにきっちり全力でプレイできるチームはないと思うけど)、チーム全体の力が02年から05年くらいの力と比べて格段に落ちているから、カンピオナートではビッグクラブ&中堅にも、そして得意のCLでも勝てなくなった。しかもほぼ同じメンバーでやってるもんだから、以前なら80%の力で勝てていた相手に同じような態度で対戦すると、その80%が実は前の50%くらいの水準になってるから確実に勝たなくてはならない試合に取りこぼす→『俺たち軽率だった…』と反省。というのが今季だったような気がしますよ。

ピルロやカカのような中心選手が正直に「今季の成績はメンバーたちの実力不足のせいだ」とは口が避けても言えないだろうな。で、そこは精神論に逃げておくのが無難であります。強かったチームの形の中には、今のピルロやカカ同様、替えのきかないピースがたくさんあった(だから今よりもピルロやカカがここまで不可欠な存在ではなかったとも言える)。それはシェフチェンコ、スタム、ルイ・コスタ、そして今去って行くセルジーニョやカフーなどなど。でも彼らが抜けたり元気がなくなった穴は他のどんな優秀な選手でも同じようには埋められないから、新たな選手を入れ、かつチームの形が変わらなければならない。それが今のミランには必要だよな…と思う。どのように変わればいいかは専門家に任せたから、私は考えないよーっ!w


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俺もカピタノやろっかな

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↑『彼は言葉少ないが、いつだってチームメイトに冗談を言う気まんまんだ。
見た目は温和(Mite)、しかし更衣室の中では独創性を表に出す能力がある。ピルロは多様な顔を持つ』
というキャプションがついた記事写真。たしかに彼はいろんな顔を隠し持っている…。

最初の質問への鋭いツッコミで大笑い、即読みふけりましたよ、ピルロインタ。どこまで本気で、どこまで冗談か。活字じゃなくてイタリア人が肉声で聞いても、あの淡々とした無表情で語られたら全っ然わからないかもしれない! アレッサンドラ記者のイジワル質問もなんのその…な俺流を通す男。

ピルロの叫び(urlo)
「ファンたちに道理がある。だから僕らはスクデットが欲しい」

「ポジティブなシーズン、しかし僕らは軽率だった。うんざりなのは、インテルの方が上に見えること。僕はミランでキャリアを終えたい、そして遅かれ早かれ、僕もカピターノになりたい」

ミラノ発 替えのきかないピースであるということはどんな感じなのでしょうか? 「それはどんな感じなのか(E come si deve stare)。そう!これが替えのきかないピースだ!なんて、僕が自分をそう見たり、言ったりすることじゃないし(Non è che mi guardo e mi dico, ecco un pezzo unico)」。アンドレア・ピルロより自分を過小評価する者を見つけるのは難しい。彼よりもうまく自分を隠している者を見つけるのは難しい。テレビ広告(訳者注:あの銀行のコマーシャル?)が流され始める前に、彼はワールドカップとチャンピオンズ・リーグを勝ち取っていた。しかし自分自身の完璧な証言者になることはない(自分については語らない)。今はすぐにもう一度チャンピオンズを戦えることを願っている。そしてできればバロンドールを獲得するため、ユーロでの優勝も。いつでも多かれ少なかれ、目立たぬままで。

—しかしながら、ピッチ内ではあなたの不在は目立ちます:ピルロなしで、ナポリでのミランはやっとたどり着いた4位の座を失いました。

「僕が出場していて、失った試合がどのくらいあるか知ってる?」

—ミランにとってチャンピオンズのカヤの外にいることは大災害ですよね?

「僕らは2つのカップを勝ち取った。ひとつは初めてのもの:僕らのグループはクラブワールドカップは一度も優勝したことがなかった。だから今季はポジティブだよ。チャンピオンズに行けないなんて、あってはならないことだけど。僕らはまだそうならないことを願っている」

—ミランファンたちはなによりもまず、カンピオナートで優勝争いして欲しいようです。

「わかっているよ。僕らは何年もスクデットを取ってないからね。ファンたちはインテルの方が上だと見てるし、それがうんざりなんだ。僕もそれにはイライラする」

—カンピオナートがこんな風になると思っていましたか?

「いいや。最後まで全チームが必死に戦うのを見るのはすばらしいものだ。いつでもこうだといいなと思う」

—公明正大なカンピオナート、そう言われます。2006年のスキャンダル(カルチョポリ)後、クリーンになったと思いますか?

「わからないよ。僕がわかっていることは、意図して負ける者はいないということだ。だからチャンピオンズ圏内に行くことをまだ願っている:トリノはフィオレンティーナに負けるだろうと言う人がいるって? 僕らは何よりもまずウディネーゼに勝つことを考えなくては。僕らはすでにこのカンピオナートでたくさん失敗している。それにもし5位になったら、それは自分たちのミスを自ら呪うべきだ」

—ガットゥーゾは出て行きたいと思っているようです。

「それについては彼と話し合ったことはないんだ。クラブと話し合うために、シーズン終了を待っているという事は知っている。彼は残ることができると、僕は思う。ここ以上に良いところなんてどこにもない」

—あなたはレアル・マドリーへ行く可能性もありました:残るか出て行くかの決め手は何ですか?

「クラブと話をして、彼らの計画をよく吟味すること」

—そして契約金のことも考える…。

「ある程度の金額を稼いでいる者にとって、給料はそんなに重要じゃない。他の街、他の環境を知る事、他の言葉を習う事というような新たなモチベーションを望むから、変えるということを考えるんだ」

—ガットゥーゾは言いました:UEFAカップを戦うなんてわびしいと。

「確かにわびしいだろう。でももし僕らがUEFAカップにふさわしいなら、それを受け入れて、最良の方法でこのカップ戦を戦う必要がある。それに、チャンピオンズでも僕らはわびしい場所でプレイしたことがあるよ」

—フラミニが獲得第一号です:どう思われますか?

「彼はとてもブラボーな選手、申し分のないミッドフィルダーだ。彼が持っている特徴はとても有用だ」

—こう言う者がいます:ミランは変わりばえがしなさ過ぎる。フォーメーションを変えるのは今だ。

「最近は4-4-2でもプレイしている。違う方法でプレイする能力があるのは有用だけど、僕らはすでにやっている。変化することは確かにみんなに役に立つことだから」

—なぜあなたは替えのきかないピースだと思われるのでしょうね?

「わからないよ。たぶん僕がトップ下として生まれたからだと思う。それに、自信があるプレイをいくつか持っているし、それと僕にはシュートもあるし。これが僕に違いを与えていることだと思う」

—あなたはカピターノ・マルディーニの後継者に一度も名前が上がったことがありませんね:残念ですか?

「難関があるけど、僕の番もやってくるだろう。こんなに長期契約してるんだから、カピターノをするまでになれると信じてる」

—ミランでキャリアを終えるつもりですか?

「そうしたいな。すでに言ったように、僕の契約は長いから、ここで終われることを願っている」

—あなたは愛猫家です:フィーゴと黒猫の話は読みましたか?(訳者注:フィーゴがインテル練習場アッピアーノ・ジェンティーレの駐車場で黒猫をひき殺したという話が広がり、縁起が悪いと言われ、抗議する人々までもが出た。インテル側は事故だと言う以外は沈黙しているが、ペレかバロテッリの車ではないかという噂も出ている…という記事はこちら。)

「うん。でも正直言って、フィーゴが猫を殺したなんて、本当だとは思えない」

—ミランがチャンピオンズに行くべき理由とは?

「僕らは慣れているから」

—では反対に出場すべきではないという理由を話して下さい。

「僕らはあまりにも多くのチャンスにおいて軽率だった。自分たちを呪わなくてはならない。そしてもし贈り物があれば、それに感謝し再出発する。カンピオナートにもっと力を注いで。なぜなら今こそ次のスクデットのことを考えるべき時だから」

—マテラッツィがPKを失敗したのを知った時は、うれしくて飛び上がったんじゃないですか?

「そんなことないよ。彼は誰でも犯してしまうミスをしたんだ。それはクルスであってもね」

—かつてインザーギがPKのボールをあなたから奪い、ミスしたことがありました。

「Eh、でも僕は彼がミスするって知ってた。でもあれは決定的に重要な試合じゃなかった。だからさせるままにしたのさ」

ALESSANDRA BOCCI

(Gazzetta dello Sport 08/05/15 第10面)

ピルロってば、リーノに続いてピッポにも愛あるキツイ冗談をw そして、アレッサ記者が「こんな(ミランにとってひどい)カンピオナートになると期待してましたか?」って言外に含ませて聞いてるだろう質問に、反対にインテルのおっちょこちょいぶりを言外に含ませつつ、「最後まで全チームが必死に戦うのを見るのはすばらしいものだ。いつでもこうだといいなと思う」って言ってるのが最高です(トリノもフィオ戦は手を抜くなよ…っていう意味もあったりして)。今回は自分たちの試合をまず必死にならなきゃいけないけど、そうでなけりゃ、アセるインテルの試合をニヤニヤしながら見てただろうなw

ピルロのカピターノ。記者会見のたびに『ピー音』を入れて修正しなくてはいけない発言しそうで(ミランのカピターノにはクラブにとって都合のいい事言う広告塔の役割もあるからね…)、それはそれで楽しい。今回もミランオフィシャル的にOKだったフレーズは…

「僕らのグループはクラブW杯を獲得したことがなかった。だから、今年はポジティブな一年だよ。CLに出場できないというのは、あってはいけなかったことだけどね。僕らはまだそうならないことを願っている。UEFAカップでは悲しいか?CLでだって、僕らは悲しい場所で戦ったことがある。出場権を獲得できなかったとしても、僕らは文句を言えないよ。軽々しかったことが何度もあったんだからね」

…だけ。少なっ!w


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